はじめに:「金利ゼロ」の幻想。あなたのリース料金、”見えない利息”に蝕まれていませんか?

「カーリースって、ローンと違って金利がかからないからお得なんでしょ?」

もし、あなたが少しでもこのように考えているなら、その認識は、あなたの資産を静かに、そして確実に奪っていく、極めて危険な誤解です。

カーリースは、金融商品です。
そして、この世に「金利のかからない金融商品」など、存在しません。

リース会社は、決してボランティアで、あなたに車を貸してくれるわけではないのです。月々のリース料金の中には、車両代金や税金だけでなく、リース会社の利益となる、明確な「金利(手数料)」が、巧みに隠されています。

この記事の目的は、単に「リースにも金利はありますよ」という事実を伝えることではありません。

リース会社がひた隠しにする「金利」という名のブラックボックスを完全に解体し、あなたがその正体を白日の下に晒し、自らの手で、より有利な条件を勝ち取るための「武器」を提供することです。

リース会社が使う謎の数字「マネーファクター」の正体とは何か。それを、ローンの年利(APR)と一瞬で比較できる「魔法の計算式」。そして、最も重要な「事実上、あなたの”金利”を引き下げるための、プロの交渉術」とは何か。

この記事を読み終える頃には、あなたはリース会社の提示する見積もりの裏側を全て見抜き、誰にも騙されることのない、確かな金融リテラシーを手にしているはずです。

【最重要知識】リース金利の正体「マネーファクター」とは何か?

まず、なぜカーリースの世界では「金利」という言葉が使われないのか、その理由を知る必要があります。
それは、リース会社が、金利の代わりに「マネーファクター(Lease Factor)」という、一見すると意味不明な数字を使っているからです。

マネーファクターとは、簡単に言えば「リースにおける金利のようなもの」です。
通常、「0.00250」のように、非常に小さな小数で表現されます。

リース会社は、なぜ馴染みのある「年利〇%」という表現を使わず、こんな分かりにくい数字を使うのでしょうか?
その理由は、残念ながら、「利用者に、金利が高いのか安いのかを、直感的に分かりにくくするため」という側面が強いと言わざるを得ません。「年利6%」と聞くと高く感じても、「マネーファクター0.00250」と言われても、多くの人はピンとこないのです。

【悪用厳禁】マネーファクターを「年利」に変換する、魔法の計算式

しかし、安心してください。
この謎の数字を、私たちがよく知る「年利(APR)」に一瞬で変換する、魔法の計算式が存在します。

マネーファクター × 2400 = おおよその年利(APR)

例えば、提示されたマネーファクターが「0.00250」だった場合、
0.00250 × 2400 = 6.0
となり、これは、おおよそ「年利6.0%」のローンを組んでいるのと、同じくらいの金利負担であることを意味します。

この計算式一つを知っているだけで、あなたはリース会社の提示する条件が、一般的なオートローンと比較して、有利なのか、不利なのかを、客観的に判断することができるようになるのです。

あなたの「金利」は、何で決まるのか?審査官が見ている3つのポイント

では、あなたに適用されるマネーファクター(金利)は、一体何によって決まるのでしょうか。それは、主に3つの要素が複雑に絡み合って決定されます。

あなたの「信用力(クレジットスコア)」

これが、最も大きな決定要因です。
あなたの過去の金融履歴(信用情報)や、現在の収入状況(属性情報)を基に、リース会社はあなたの「信用力」をスコアリングします。
信用スコアが高ければ高いほど、「この人なら、貸し倒れのリスクが低い」と判断され、低いマネーファクター(金利)が適用されます。逆に、スコアが低ければ、リスクが高いと見なされ、金利は高くなります。

あなたが「選んだ車」

意外に思われるかもしれませんが、あなたが選ぶ「車種」も、金利に影響を与えます。
これは、自動車メーカーが、特定の車種の販売を促進するために、リース会社に対して「インセンティブ(販売奨励金)」を提供している場合があるからです。

リース会社は、そのインセンティブを原資として、通常よりも低い、特別なマネーファクター(これをサブベンション・レートと呼びます)を、利用者に提供することができるのです。
モデル末期の車や、メーカーが特に力を入れている戦略車などは、この恩恵を受けやすい傾向にあります。

あなたが「選んだリース会社」

リース会社自身の「資金調達力」も、金利を左右する重要な要素です。
大手金融グループを母体とする会社は、低い金利で資金を調達できるため、その分、利用者に提示するマネーファクターも低く抑えられる傾向にあります。

一方で、独自の審査基準を持つ中小のリース会社などは、リスクが高い分、金利も高めに設定されているのが一般的です。

【プロの交渉術】金利を「事実上」引き下げる、唯一の方法

残念ながら、マネーファクターそのものを、あなたが直接「値切る」ことは、ほぼ不可能です。それは、リース会社のリスク計算に基づいて、機械的に算出される数字だからです。

しかし、諦める必要はありません。
月々の支払額に、金利と同じくらい大きな影響を与える、もう一つの重要な数字を交渉することで、あなたは事実上、金利を引き下げるのと同じ効果を得ることができるのです。

その数字こそ、「車両本体価格(キャピタライズド・コスト)」です。

多くの人は、リースは「定価」で契約するものだと思い込んでいます。しかし、それは大きな間違いです。
リース契約における車両本体価格も、購入する場合と同様に、交渉の余地があるのです。

あなたがディーラー系のリース会社や、販売店と提携しているリース会社と契約する場合、担当者に対して、「この車の販売価格を、もう少し勉強していただけませんか?」と、毅然とした態度で交渉してください。

もし、車両本体価格を10万円引き下げることに成功すれば、それは、あなたが支払うべき元本が10万円減ることを意味します。その結果、月々の支払額は、金利が数パーセント下がったのと、ほぼ同じくらいのインパクトで安くなるのです。

「金利を下げてください」と言う素人ではなく、「車両価格を下げてください」と言う玄人になること。それこそが、あなたが有利な条件を勝ち取るための、最強の武器です。

まとめ:「金利」という名の”霧”を晴らし、本当の価値を見極める

カーリース契約における「金利」とは、単なる数字ではありません。
それは、リース会社の「ビジネスモデル」と「リスク計算」が、透けて見える設計図であり、あなたの「信用力」と「交渉力」が、試される真剣勝負の場であり、そして、あなたが「本当のコスト」を理解し、賢い選択をするための、最強の羅針盤なのです。

「一番安いリースは、どれですか?」

その問いは、もうあなたの口から出ることはないでしょう。

あなたが問うべきは、「私にとって、最も価値のある契約条件は、どれですか?」です。

この記事で手に入れた「マネーファクターの解読術」と「車両価格の交渉術」という武器を使えば、あなたはもう、リース会社の提示する見積もりに、一方的に従う必要はありません。
あなた自身の価値観に基づき、あなた自身の力で、最高の条件を勝ち取ってください。

まずは、気になるリース会社の公式サイトで無料見積もりを取り、提示された月額料金の裏側にある「マネーファクター」を、想像してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
特に、任意保険までコミコミで、金利の概念が全く異なる「SOMPOで乗ーる」「KINTO」、あるいは最終的に車がもらえることで金利負担の考え方が変わる「MOTAカーリース」のようなサービスと比較することで、あなたの選択肢は、さらに豊かなものになるはずです。